交通事故での具体的な損害賠償額

交通事故における具体的な損害賠償額は、法律では明確に規定されていないので、被害者と加害者との示談よる話し合いや、裁判所の判断によってその金額が決まります。

これは同じ事故が一つもないといわれるように、事故の内容は各事案により異なります。多様な要因で損害が発生し、その賠償額を法律で一律に決めてしまうと、現実にはそぐわない部分が多々存在するためです。

しかし、近い事故事案で賠償額が大きく変わるのは、法的に望ましくないことから、一定の基準が存在し、それにより賠償額を算出しています。

実際に事故による損害を受けた場合は、この基準よる賠償額がどの程度支払われるのか、具体的な例で金額を算出してみます。

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35歳会社員が事故で死亡した場合の賠償額

35歳の会社員が事故により死亡した場合に、支払われる賠償額を算出してみます。

死亡した会社員の年収は600万円で、家族は妻と子供2人が残され、会社側からは400

万円の退職金が、死亡にともない支払われています。

事故被害者35歳、男性、会社員
家族構成妻、子供2人
年収600万円
死亡による退職金400万円

死亡事故による損害賠償の内容は次のようになります。

葬儀関係費用(積極損害)

まずは、財産的損損害の積極損害となる、葬儀費用が必要となります。基準とされるのは130~170万円の範囲が多く、この事故では葬儀費用として140万円の支払いがされたとします。

葬儀関係費用140万円

給与の逸失利益

次に消極的損害として、事故で死亡しなければ将来受け取れていたはずの収入、逸失利益が支払われます。

逸失利益の算出は600万円の年収から、本人の生活費を控除し、労働可能期間に対応したライプニッツ係数をかけて行います。

本人の生活費控除35%
労働可能期間32年(労働可能年齢67歳-死亡年齢35歳)

600万円×(1-0.35)×15.803(32年に対するライプニッツ係数)=6,163万1,700円。

給与額の逸失利益6,163万1,700円

退職金の逸失利益

定年まで勤務すると、2,000万円の退職金が支払われる予定でしたが、これも受け取ることができなくなり、退職金も逸失利益として支払いが受けられます。

60歳で会社の定年を迎えるとすると、死亡後の残りの勤続年数は25年間です。この年数に対応したライプニッツ係数をかけて、すでに支払われている400万円を差し引きます。

定年60歳
退職金2,000万円
残りの勤務年数25年(定年60歳-死亡年齢35歳)
死亡による退職金400万円

2,000万円×0.2953(25年に対する1年毎のライプニッツ係数)-400万円=190万6,000円。

退職金の逸失利益190万6,000円

給与、退職金合計の逸失利益(消極損害)

給与の逸失利益6,163万1,700円
退職金の逸失利益190万6,000円

6,163万1,700円+190万6,000円=6,353万7,700円。

給与としての損害と退職金の損害を合計した逸失利益は6,353万7,700円です。

慰謝料(精神的損害)

精神的損害として慰謝料が支払われますが、死亡したのは家族の生活を支えていた一家の支柱なので、2,800万円が認められるとします。

損害賠償額の合計

財産的損害6,493万7,700円積極損害140万円葬儀費用140万円
消極損害6,353万万7,700円逸失利益6,353万7,700円
精神的損害2,800万0,000円慰謝料2,800万円

財産的損害6,493万7,700円+精神的損害2,800万円=9,293万7,700円。

この事故ケースでは損害賠償額9,293万7,700円が支払われます。

この他に損害賠償が示談による解決が困難となり、裁判による判決となった場合は、弁護士費用の10%程度を、損害賠償額に上乗せをし請求することができます。

賠償金の相続配分

損害賠償金を受け取る被害者は死亡しているので、賠償金の受け取りは妻が2分の1、子供2人が各4分の1ずつ相続することになります。

4,646万8,850円
子供1人につき2,323万4,425円

減額になる場合

死亡した被害者にも過失が認められると、過失割合に応じて減額が行われ受け取る賠償金が減少します。また友人や配偶者などの好意同乗者とされる人も、損害賠償の減額対象になる場合があります。

この他に公的保険や年金制度から支給を受けた場合は損害額から控除されます。さらに自賠責保険で死亡賠償額3,000万円を、すでに受け取っている場合は、損害賠償額からこの金額が控除されます。

しかし搭乗者傷害保険や自損事故保険、生命保険からの支払いは控除の対象にはなりません。

17歳高校生が傷害事故に遭った場合の賠償額

17歳の女子高校生が事故により傷害を負い、入院した場合の損害賠償額を算出してみます。

女子高校生の入院日数は40日で、退院後の実通院日数は45日、通院延べ期間は約130日で、事故による後遺障害はなく回復したとします。

事故被害者17歳、女性、高校生
入院日数40日
実通院日数45日

傷害事故による損害賠償の内容は次のようになります。

医療関係費用(積極損害)

まずはケガを治療するため、財産的損害の積極損害にあたる医療関係費用が必要になり、医療関係費用には入通院治療費、付添看護費、入院雑費、入通院交通費などが含まれます。

入通院治療費150万円
付添看護費42万5,100円(職業付添婦)
通院付添日13万5,000円(3,000円×45日)
入院雑費5万2,000円(1,300円×40日)
家庭教師代30万円
入院交通費2万3,000円

治療費150万円+付添看護費42万5,100円+通院付添費13万5,000円+入院雑費5万2,000円+家庭教師代30万円+交通費2万3,000円=243万5,100円。

医療関係費用の賠償額243万5,100円

雑費・その他(積極損害)

事故に遭い制服など衣服が破けてしまった場合は、その損傷費として修理代や新たに購入する費用が賠償の対象になります。

衣料損傷費2万5,000円

雑費・その他の賠償額は2万5,000円

入通院治療慰謝料(精神的損害)

基準となる入院2カ月通院2カ月での入通院慰謝料は、73~139万円とされているので、ケガの状態や実際の治療日数などを考慮し100万円と算定します。

入通院慰謝料100万円

損害賠償額の合計

財産的損害246万0,100円積極損害246万0,100円医療関係費243万5,100円
雑費・その他2万5,000円
精神的損害100万0,000円慰謝料100万円

財産的損害246万0,100円+精神的損害100万円=346万0,100円。

損害賠償額の合計は346万0,100円です。

しかし被害者となった高校生にも過失が認められると、その割合で賠償金額は減額されます。

36歳会社員が事故に遭い後遺症になった場合の賠償額

36歳の会社員が事故に遭い後遺症が残った場合に、支払われる賠償額を算出します。

後遺症の症状は胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができない障害等級7級5号に該当し、入院日数300日、通院期間は300日で実通院日数は105日です。

後遺症となった会社員の月収は38万円で、休業となったのは12カ月間でした。

事故被害者36歳、男性、会社員
月収38万円
入院日数300日
実通院日数105日
後遺障害等級7級5号
休業期間12カ月

傷害による損害賠償は次のようになります。

事故により後遺症と認定された場合の賠償請求は、事故直後の医療関係費などの積極損害と、休業損害、入通院慰謝料にあわせて、後遺症逸失利益、後遺症慰謝料の請求を行います。

医療関係費用(積極損害)

入通院治療費280万円
付添看護費210万6,000円職業付添婦180万6,000円
家族の付添30万円(6,000円×50日)
入院雑費39万円1,300円×300日

治療費280万円+付添看護費210万6,000円+入院雑費39万円=529万6,000円。

医療関係費用529万6,000円

後遺症逸失利益(消極損害)

後遺障害逸失利益は障害等級7等級と認定されたので、労働能力喪失率は56%になり、これが、労働可能年数の67歳までとなる29年間適用されます。

後遺症逸失利益は基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数で計算されます。

月収38万円×12×労働能力喪失率0.56×(67歳-36歳=31)32年間に対するライプニッツ係数15.593=3,866万4,057円。

後遺症逸失利益3,981万8,284円

休業損害(消極損害)

休業損害は平均月収に休業した期間で算出します。

月収38万円×休業期間12カ月=456万円

休業損害456万円

入通院慰謝料(精神的損害)

入通院慰謝料は入院300日、通院期間300日の場合は、自賠責基準88万2,000円、任意保険基準196万4,000円、弁護士基準335万円とされていますが、実通院日数を考慮し230万円と判断しました。

入通院慰謝料230万円

後遺症慰謝料(精神的損害)

後遺症慰謝料は自賠責基準では409万円、任意保険基準500万円、弁護士基準1,030万円とそれぞれの基準がありますが、この事故では症状などを考慮し780万円が認められたとします。

後遺症慰謝料780万円

損害賠償額の合計

財産的損害4,967万4,284円積極損害529万6,000円医療関係費用529万6,000円
消極損害4,437万8,284円後遺症逸失利益3,981万8,284円
休業損害456万円
精神的損害1,010万0,000円入通院慰謝料230万円
後遺症慰謝料780万円

財産的損害4,967万4,284円+精神的損害1,010万円=5,977万4,284円。

損害賠償額の合計は5,977万4,284円です。

この事故でも被害者の会社員に過失があると、その割合で賠償金が減額されます。また弁護士に依頼を行い裁判となった場合は、その費用の10%程度を、損害賠償額に上乗せし請求することがでます。

しかし自賠責保険より治療費として、限度額120万円が支払われている場合は、その金額が控除されます。

物損事故での賠償額

停車中に追突され車は修理不能なほどの損害を受けたのですが、搭乗者にはケガがなかった事故での賠償額を算出してみます。

追突された車は2カ月前に購入したばかりの、新車同然といえる車両でしたが全損扱いになってしまいました。

物損事故による賠償は次のようになります。

車対車の物損事故では、基本的に修理での対応になりますが、修理ができない場合は全損扱いになり、全損車両の時価評価額の賠償になります。

修理が終わるまでの期間や、代替車両が見つかるまでの期間は代車料が認められ、代車が見つからない場合は休車補償が受けられます。

過失割合がない全損扱いでの事故(車の時価額)

この事故では被害車両が修理不能の全損扱いになり、車両の買い替え費用が補償されますが、購入から僅か2カ月でも新車の購入費用が補償されるのではなく、同じ程度の中古車を購入する費用になります。

賠償される車両は同じ年式、車種、グレードで使用状態や走行距離が、全損車両と同じような中古車の価格となるのですが、それが見つからない場合は、定率法(減価償却)により算出された車両価格になります。

また修理費が事故車両の時価額を超える場合も全損扱いになります。

この事故では新車価格280万円の車が全損になりましたが、車両を購入し2カ月だったため同程度の260万円の中古車が賠償されました。

過失割合のある物損事故

信号のある交差点で直進車両同士が、「A」は黄信号で「B」は赤信号でそれぞれ進入し衝突しました。両方の車両とも搭乗者のケガ人はなく、物損事故として扱われ過失割合は20:80に決まりました。

修理代

事故による損傷は「B」が酷く全損扱いになり、「A」は修理可能でしたが車の骨格にも及ぶ修理で、事故車扱いになり評価損が発生しました。

「B」は代わりの車両が早く見つかりましたが、「A」は車両の修理に時間がかかりました。

 AB
修理費80万円全損(評価額180万円)
評価損25万円
代車使用料15万円4万円
損害額合計120万円184万円

損害の合計は「A」が120万円「B」は184万円です。

車両「A」・「B」の負担額

事故による損害額を過失割合に応じて算出します。

A(120万円+184万円)×20%60万8,000円
B(120万円+184万円)×80%243万2,000円

負担する損害額は「A」60万8,000円「B」243万2,000円です。

損害が洋服、腕時計、メガネ、ネックレスなどの装身具などにも及ぶ場合は、それらも賠償の対象になります。

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